直しは多くの場合、打ち合わせにおける編集者とライターとの意志の疎通がない時に発生する。
「こんな感じでまとめちゃいましょう」の「こんな感じ」が編集者とライターで違っているわけである。
これは七分三分で編集者が悪い。
ライターの三分の罪は、「こんな感じ」を軽く聞き流したこと。
打ち合わせに集中していれば、「こんな感じ」が「あんな感じ」でしかまとまらないということは事前に察知できるはずだからだ。
だから、ベテランのライティング・代筆屋になると、打ち合わせでは実にしつこく編集者に確認を取る。
最終的なタイトルはどうなるのか。
小見出しは何本くらい立つのか。
どんな写真を使うのかなど。
要するにベテランは、最終的な仕上がりをイメージして打ち合わせをする。
また、取材の途中で発生しそうな事態をあらかじめ予想して、その場合の対処法を確認しながら打ち合わせをする。
というのも、最初の打ち合わせさえしっかりやっていれば、直しの大半は防げるからだ。
それによって、無駄なコストを削減することができる。
逆にいうと、しっかりした打ち合わせができるようになると、ライティング・代筆屋としては一人前ということだ。
ところが駆け出しの頃は、これがしっかりできなくてズボラな編集者の「こんな感じでいきましょう」に引きずられて、そのまま仕事を始めたりする。
あげくのはてに、何度も何度も直しということになるわけだ。
ただ、雑誌の直しの場合はひとつの救いがあって、直せばおおむねだんだんよくなってくる。
それは、理に叶った直しであるということでもある。
どんなにスボラな編集者でも、上がってきた原稿に対しては、的を得た注文を出せるということもあるからライティング・代筆屋としては困ってしまうのだ。
いずれにしろ、ライティング・代筆屋にとって打ち合わせは非常に重要である。
なにしろ直しにかかる負担は、三分の罪しかないライティング・代筆屋にひとえにかかってくるのだから。
そして、新規負担分の作業については原稿料は追加されないから、直しが発生するとその仕事はコスト割れということになる。
これでは、売れるライティング・代筆屋になっても意味がない。
むしろ、売れないほうがいい。
なぜなら、一生懸命儲けのない仕事をしているということだからだ。

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